渔村多面的机能

- 1 -水産业?渔村の多面的机能に関する认识の発展と政策形成の特徴中央水産研究所 玉置泰司1.渔业区分别に见た多面的机能の概要と课题日本学术会议答申「地球环境?人间生活にかかわる水産业及び渔村の多面的な机能の内容及び评価について」(2004)の整理に沿って,我が国の渔业区分毎の多面的机能との関わりを検讨すると,沿岸渔业の位置づけが重要なことは明らかであるが,沿岸渔业生産量は 1985 年の 227 万トンをピークとして减少倾向にあり,2007 年にはピ-ク时の 58%に当たる 132 万トンまで减少した.特に,多面的机能を発挥する场として重要な,藻场?干泻に関连する生物の渔获量は,おおむね减少倾向にあり,藻场?干泻の机能が失われてきていることを示している.2.水産行政における多面的机能の认识の発展水産行政における多面的机能の最初の整理は,1987 年7月までさかのぼることが出来る.水産庁长官の私的谘问机関である,渔业问题研究会の第2回会议の配布资料として水産庁事务局より「我が国水産业の役割」が配布された.その4ヶ月後にとりまとめられた「渔业问题研究会中间报告」(以下「中间报告」と略す.)の冒头に,7月の配付资料を踏袭する形で「我が国水産业の役割」として以下の5项目が置かれた.(1)「水産物の安定供给の役割」,(2)「所得?雇用机会の提供の役割」,(3)「海洋环境保全の役割」,(4)「海の文化の継承の役割」,(5)「海洋性レクリエーションの场の提供の役割」であり, 食料供给以外のいわゆる多面的机能を初めて整理した.この整理は 1980年の农政审议会答申「80 年代の农政の基本方向」において「农村の役割」として多面的机能をとりまとめたことに,影响を受けたものと考えられる.中间报告の整理は翌年に出された昭和 62 年度渔业白书に引き継がれ,この白书の「むすび」には,-水産业の果たすべき役割-という副题が付いている.中间报告においては,「今後の我が国経済社会の発展の过程においても,これらの役割を适切に果たしていくことが期待される.」と淡々と书かれており,整理にとどまっている.一方の渔业白书では,なぜ「役割」を整理したかについて明确に述べている.ここでは水産物输入の増大による生産?流通?加工等への影响を大きく取り上げるとともに,広い公海,安価な燃油等の诸条件を失い,厳しい経営状况が継続しているとし,「このような状况の下で,水産业の新しい展望を切り开いていくためには,関系者の自助努力に加えて,水産业の果たすべき役割に対する国民の理解を背景とした适切な支援,诱导が必要であろう.そこで,水産业の果たすべき役割を今一度见直し,适切にその役割を果たしていくための方向について述べ,今回の报告书のむすびとした.」としている.ただし,中间报告では「海洋环境保全の役割」の中に渔获活动を通じた窒素,リンの回収が书かれているが,白书では记述がない.また,中间报告では,海洋性レクリエーションの场の提供の中に,プレジャー船等の海洋での遭难に対する渔业者の救援活动について触れられているが,白书では记述がないなど,多面的机能の项目は中间报告よりも减少している.そしてこれらの役割に対する支援についての具体的な施策の実施はなかった.- 2 -渔业白书においては,この後しばらくの间,多面的机能に関する记述は影を潜める.次に出てきたのは,7年後の 1995 年発行の平成6年度渔业白书において,「むすび」の中に以下のように若干ふれられる.「 また,我が国渔业は,健康的で豊かな日本型食生活を実现していく上で重要な役割を果たしていることに加え,所得?雇用机会が乏しい渔村における基干産业として,水産加工业等多くの関连産业とともに贵重な就业の场を提供し地域社会を支えているほか,都市住民等へ自然とのふれあいの场を提供したり,国土の均衡ある形成にも寄与するなど多面的な役割を担っているところである.」「多面的」という用语は使われているものの,あげられている项目も少なく,海洋环境保全や海の文化の継承などの机能は抜け落ちている.1999 年の平成 10 年度白书では,教育の场の提供机能を初めて取り上げただけでなく,「コラム:渔业,渔村のもつ公益的机能の定量化の试み」の中で,「沿岸渔场整备开発事业として造成した藻场や干泻全体について,一定の条件の下に代替法により窒素の吸収による水质浄化作用を评価すると,约 125 万人分の生活排水処理机能があり,その评価额は约1 兆 5 千亿円と试算されています.」と初めて多面的机能の评価额を公表している(评価额の公表は林业が 1972 年,农业が 1982 年と先んじている).1999 年 12 月に公表された,水産基本政策大纲における多面的机能の扱いは,「3.水産业?渔村の有する多面的机能の理解の増进と适正な评価」の中で,「(1)水産业?渔村の多面的机能に系る情报提供: 海难救助,国境域の监视,沿岸域の环境保全等の水産业?渔村の多面的机能が国民に正しく理解され,适正に评価されるよう,体験学习等を含め,情报提供や普及活动を推进する.」「(2)公益的机能に対する社会的対応のあり方: 渔业?渔村の公益的机能の评価について,诸外国の例も参考にしながら,国民的理解を深め,これら公益的机能に対する社会的対応のあり方について引き続き検讨する.」と记されている.その後の水産基本法策定を巡る国会での议论において,水産基本法の政府当初案では,水産基本政策大纲を受ける形で,多面的机能については,まずは情报提供を行うこととするなど,国民の理解と支持を得るために必要な多面的机能に関する施策を充実させていくとの方向にとどまっていた.その後议论が行われ,9つの政党が一致して,水産基本法案に対する修正案ができたが,趣旨説明としては,「多面的机能に関する施策をより积极的に规定することとし,国は,水産业及び渔村が国民生活及び国民経済の安定に果たす役割に関する国民の理解と関心を深めるとともに,水産业及び渔村の有する水産物の供给の机能以外の多面にわたる机能が将来にわたって适切かつ十分に発挥されるようにするため,必要な施策を讲ずるものとする」と踏み込んだものとなり,2001 年,全会一致で采决された.3.多面的机能発展のための施策水産基本法に沿ってその後水産行政でとられた施策としては,1つは委托事业による多面的机能の経済评価がある.2003 年3月に水土舎から出された平成 14 年度の委托事业报告书では,物质循环机能,环境保全机能(渔业による环境保全机能及び渔村の人々による环境保全机能),国民の生命财産保全机能,保养?交流?学习机能について経済评価を行って约9兆2千亿円と评価している.本経済评価手法は,その後学术会议答申で引用され- 3 -た三菱総研による経済评価にほとんどそのままの形で引き継がれた.もう1つは多面的机能の増进のための交付金制度の创设がある.平成 17 年度に导入された离岛渔业再生支援交付金は,「渔场の生産力の向上に関する取り组み」または「集落の创意工夫をこらした取り组み」について集落协定を缔结し,活动経费として交付额は1集落あたり 25 世帯で 340万円を基本に计算されるが,渔业者个人へ配分することは不可である.また,多面的机能については交付金の目的ではなく,副次的な効果としてとらえることができる.多面的机能増进を主目的とした交付金制度については,水産庁が平成 20 年度に设置した「环境?生态系保全活动支援制度検讨会」(座长:明海大:山下教授),において検讨され,7月上旬に中间とりまとめが行われた.ここでは,藻场?干泻?ヨシ帯について,幼稚鱼等の保育场や水质浄化?富栄养化の防止等の公益的机能を有していることから,渔业者等の维持?保全活动を支援する交付金制度を创设するべきというものである.平成 21 年度予算概算要求において,12 亿1千万円の要求が行われた.农业における同様の多面的机能の増进に関系する施策をみると,平成 12 年度に导入された「中山间地域等直接支払交付金」は,集落协定の中に多面的机能増进活动を1つ以上盛り込むことが义务づけられている.また,平成 19 年度に开始された「农地水环境保全向上対策」の「共同活动支援」では农地?水向上活动や农村环境向上活动などの共同活动に要する経费を支援するための活动に交付金で助成を行う物で,今回水産で検讨が行われた「环境?生态系保全活动支援制度」と类似した制度である.なお,「农地水环境保全向上対策」には,もう1つ个别农家に配分可能な交付金を手当てする,「先进的営农活动支援」という制度がある.これは「共同活动支援」を行う地域において,対象区域の农业者全体で环境负荷を减らす取组を行うことと,一定のまとまりをもって化学肥料?化学合成农薬を原则5割以上低减することが,要件となっている.一方,今回検讨されている环境?生态系保全活动支援制度においては,个别渔业者に配分可能な交付金は検讨されていない.保全活动への支援だけでは渔业者のやる気が出るかどうか不安な面がある.例えば,この制度に个别渔业者に配分可能な交付金を组み合わせようと考えた场合,农业の论理をそのまま持ってくる场合には,水産业の一部分について,外部不経済を认めた上で,外部不経済の削减に伴う费用の増加あるいは収入の减少を补填するための交付金というシナリオになる.农业での「化学肥料?化学合成农薬を原则5割以上低减」という要件は,数値目标として明确であり,大変わかりやすいが,渔业では何を指标としたらよいかというのが问题となる.例えば,「燃油消费量を原则2割以上削减する」という要件を用いることは现実的であろうか.肥料?农薬は5割削减なのに,燃油は2割でよいのか.等の数値の妥当性も検讨する必要がある(现在実施中の燃油対策では,轮番休渔?减船?省エネ推进活动により,燃油消费量を1割以上削减する场合に补助対象となっている.また,农业関系で実施中の「燃油?肥料高腾対策に関わる平成 20 年度紧急対策」では,燃油消费量を2割以上低减した农业者グループへの支援となっている.).环境负荷低减に向けた具体的な取り组みとしては様々な事项が想定されよう.渔业においては,渔获制限が考えられるが,海藻や二枚贝のMSY実现のための渔获制限が多面的机能の向上に効果があるといえる.ただ,その他の鱼种の渔获制限は多面的机能维持に効果があると证明できるか.渔业による海から陆への物质循环の役割を维持するために持続型渔业とすることだけで十分かどうか.その场合,TAC制度やTAE制度に関连づけて,- 4 -休渔等の渔获制限を実施した渔业者に直接支払を実施したり,「渔业経営の改善及び再建整备に関する特别措置法」に基づく「整备计画」による减船や既存の减船事业をこの形の交付金に组み替える手法も考えられる.环境保全として,改良底びき网等环境に优しい渔具を用いた操业に操业形态を変える场合や,通常の操业を休んで渔场清扫を実施すること.海鸟や海亀の混获防止措置に要する追加费用.「渔业経営の改善及び再建整备に関する特别措置法」に基づく「改善计画」による二酸化炭素の削减措置等.この他,カゴや筒渔具の一部に生分解性プラスチックを用いて,ゴーストフィッシングを予防する.さらには,日本版エコマークと结びつける手法も考えられる.养殖では,鱼类等の给饵养殖において饲育密度を低下させる,给饵量を减らす,投薬量を减らす等が基本であろうが,発泡スチロールのフロートをアルミのフロートに変える,作业船を FRP からアルミ船にする,作业船のエンジンやノリ加工机械等を省エネ型に変える等の行为は环境への负荷を减らす行为であり,そのような行为への直接支払は「环境直接支払制度」同様と考えられる.あるいは「持続的养殖生産确保法」に基づく「渔场改善计画」と结びつける手法も考えられる.さらに,藻类养殖,二枚贝?ホヤ等の无给饵养殖はそれ自体が水域からの窒素?リンの回収の役割を果たす.4.结语多面的机能に関する将来の课题を考える场合,国民にとってどのような多面的机能が重要なのかの判断が必要であろう.それを判断する场合には,多面的机能の価値评価が必要となる.また,どのような施策によりその多面的机能を増进できるのか.あるいは,どのような施策により多面的机能を発挥する渔业そのものを活性化できるのかについても考えなければならない.水産行政における水産业?渔村の多面的机能に関する政策形成は,これまで绍介してきたとおり农政の踏袭が行われてきた.今回の燃油対策のように,まず水産から走り出すような政策が行われることを期待したい.そのためには学会?研究者の働きが重要であろう.